その3:EASTERN CAR WORKS 客車キットメイク(1)

その2も終わらぬ内にその3が始まります。
ま、日頃からその1もその2もなく、その10ぐらいまで平行してあっちこっちに浮気しながら進めているのではありますが。

EATERN CAR WORKS 社はペンシルベニア州にある客貨車キットのメーカーで、ホームページトップにも書かれている通り、全てのキットはアンデコです。アメリカ模型って、プラ製でも機関車と貨車は緻密な製品があるのですが、客車といえば未だにショーティや1種類の塗り分けといった状況で、ものすごくバリエーション豊かな実車に比べて信じられないほど陳腐な品揃えしかありません。その分、日本のNによくある客車のサイドだけのエッチングキットや、ブラス製品が基本のようです。EASTERN CAR WORKSの客車は日本で言えばGM?、バリエーションはGM製品には敵わないものの、面白いバリエーションのキットを発売しています。

今回進めているのは2000年11月に個人輸入した11両の内台車が揃った7両のスムーズサイド客車キットで、同時に入手した中にはローカルで使われていた丸屋根改造したヘビーウェイト客車やコルゲートサイドの寝台車などがあります。

2000年12月、購入してすぐに1両だけ試作したRPOが左の写真。
写真写りがなかなか良くてねぇ・・(^^;)、定価$15とは思えない程。が、これがなかなかなシロモノでありました。

キットは後ろの派手な箱に入っています。85ft.の車両なので箱も結構大きく$10そこそこで買えると得した気分になります。

キットの構成は
・ボディ側板(当然左右各1枚)
・妻板(こちらも当然前後各1枚)
・屋根と屋根上機器少々
・床板−床下機器までモールドされています
・窓ガラス−ハメコミ式になっています
・台車−はっきり言って使えません(^^;)・・・後述
・車輪と車軸−車輪はプラ削り出し、車軸はアルミ?
・説明書と別売パーツリスト

こう一覧にしても優れたキットに見えますねぇ(^^;)、実は全体に質の問題があるものの、内容はたいしたものなのです。

NゲージのGMプラキットに台車を足したと思えばいいのですが、HOだけあって台車も組み立てです。それもボディと同じABS素材!
ま、それはともかく、全体に素材が薄く華奢な印象で箱になったら少しは強くなることを期待して組み立てを始めました。

ボディも屋根もランナーに付いた状態でニッパーで切り取り整形するのはプラキットの常、さらにこのキットの場合、全ての端面に金型のバリがあるので全面的にヤスリがけをしなくてはなりません。さらにさらに、妻板のカーブと屋根のカーブ、雨樋までの深さがぜんぜん合っていないので、ここもヤスリで屋根に合わせなくてはいけません。さらにさらにさらに、側板も屋根もぐにゃぐにゃに波打っているので平面になるように手で曲げて整形します・・ほんとかよ〜!って思うでしょ・・。

手で曲げると生地の色が変形して白っぽくなります、いつバキッと折れるか心配するくらい曲げないと直らないのがすごいところ、そのくらい曲げても折れないのがもっとすごいところだったりします。

屋根の曲げ直しは圧巻です。
10両購入した全部が全部、妻付近が下側に曲がっています。中には捻れたものもあって品質はめちゃくちゃです。昔、中村精密が16番の10系客車プラキットを出していました。こちらも屋根が捻れたり曲がっていたりしていましたが、この製品はそれ以上でした。

ともあれ、なんとかヤスリと両手を使って組み上げたのが下右の写真です。今回、台車が手に入った7両を先行して完成させることにしました。

一番手前のObservation(展望ラウンジ)はこのキットの見せ場、日本の20系よりもぐっと絞った流線型の形状をよく表現しています。

写真でも判るように台車だけ銀色、キットの台車は上にも書いたようにABS素材の上に薄くちょっと尖った車輪を入れるとピボット軸で穴が貫通してしまいます。聞いた話では諸先輩の皆さんはブラス製の軸受けを入れているのだそうで、さもありなん、であります。

私の場合はもっと楽をして台車だけアサーン製のものを別途購入しました。
カブースホビーにオーダーしたものの在庫は7両分だけとのことで今回の7両になった訳です。アサーン製の台車はこのキットにぴったりのチープなプラ整形品ですが、さすがにABSではなくしっかりしたものです。さすがに伝統のあるアサーンの製品だと感心しました。

ただ、アサーンの台車は70ft.ショーティ用に設計されているようで、カプラーポケットが少々短かくなっているので、少々手を入れる必要があります。

もう一つ、手を入れたといえば、台車中心ピン部分。
アサーンの台車はなぜか台車側にピンが整形されていて直径4mmのピンが台車枕梁から飛び出ています。そこで、キットの床板に4.2mmの穴を開けてスポッとはめこんでいます。中心ピンの整形には2mmほどの穴が開いているのでここに2mmネジを通して取り付けようと考えてます。

さて、取り敢えず形になったのですが、よく見ると妻と屋根の合わせがいまいちで、所々隙間もある状態だったためパテで埋めました。
残念なことに、パテを使うと妻板に表現されたリベットを削らないといけません。しかし、隙間はさすがにみっともないのでリベットには泣いてもらうことにしました。言い訳ですが、妻板だし、見えにくいし、ま、いっか。

 写真上:妻板と屋根の隙間が酷いのでパテ埋め、ペーパーを掛け仕上げた状態

塗装後は下の写真のようになる予定です。次回はその2の機関車と一緒に塗装〜。

続く

2002.5.5

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今回の完成見本:B&O寝台車TYGART Morning Sun Books より