塗装事始め

2001.2.12


塗装はいつまでたっても手強い作業であります。

私は小学生高学年の頃から模型を始めたのですが、だいぶ長い間、塗装といえば筆塗りの時代が続いたような気がします。
当時は16番のペーパーボディが手の出る範囲で、何かのきっかけで買って貰ったEB10と貨車のセット以外は手作りでスタートしました。

模型とラジオ、子供の科学といった良書に出会ったのは中学に入ってからで、なぜか最初に買った鉄道模型雑誌は鉄道模型趣味(TMS)。一気にハイレベルな作品に触れてしまったのはいいのですが、到達点は見えてもアプローチが見えてこないという状態だったように思えます。塗装についても、筆塗りとTMSの作例でなんでこんなに違うのか?と不思議に思っていました。今のように情報が溢れていませんから、良い先輩や親兄弟が模型をしていない限りなかなかアプローチできなかったのでしょう。

さて、その塗装ですが、筆塗りから吹き付け塗装へ進歩したきっかけは、小高模型のキットと教材屋のおじさんでした。
近所にあった教材屋の棚に埃を被って小高模型のキットがほんの少し置いてあり、小遣いが溜まるのを待って1セットずつ買っていました。
小高のキットに入っている説明書は当時なかなかの難物で、模型用語が判らないことがしばしばありました。その中で、塗装の段に「サーフェーサー」というモノが書かれてあり、英語に触れていない小学生にはなんのことやらさっぱり判りません。教材屋のおじさんに尋ねてみると、赤い缶に入った灰色のドロッとした液体を出してきてくれました。使い方を聞くと出てきたのがコレ。

手押し式のスプレーでした。殺虫剤のスプレーもそろそろ廃れた頃でしたから、子供心に効果を疑ったものです。

試してみるとその見事な効果にできあがった作品を誰彼構わず見せびらかした記憶があります。筆塗りでぼってりした塗装からTMSに出ている作品にも負けない(と思った)出来映えに我ながらほれぼれしておりました。

サーフェーサーを吹き付け、耐水ペーパー(これも小高仕込み)で水研ぎし、マッハの調合塗料で仕上げる・・・たった650円のスプレーが車輌工作の扉を開けてくれたような気がします。


手押しスプレーは中学生時代から高校ぐらいまで活躍し、Nへ転向後、GMのスプレー缶にとって変わりました。

現在はコンプレッサーとハンドピースを使っていますが、手押しじゃなくなっただけで基本はこのスプレーと変わってませんね。

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