ちび2

2001.5.6


ちび2という小型ボール盤を見つけたのは銀座伊東屋の工具売場だった。10年くらい前のことだったと記憶している。
この製品は伊東屋オリジナルとのことで、高さがもう少し高いちび1とちび2の2種類が売られていた(今でも販売されているかは不明)。当時、2000円ぐらいだったと記憶している。

構造は見たとおりの簡単さ、コの字に折ったスチールフレームに支柱が2本、主柱?にコイルバネが通されてドリル本体を支えている。ドリル部分は缶に入ったモーターからギア伝動でコレットホルダーが回る仕掛けになっている。動力はDC3V、ドリル本体手前に見えるソケットから電力を供給する。標準で添付されているのは単一電池2本のホルダーで、このソケットにあったプラグが付いたリード線が伸びている。ちなみに、ミニバイスは別に購入したものである。
ボール盤としての機能は、コレットホルダーにコレットを挿入してドリルを支持し、本体を手で押し下げて穴を開ける。本体はバネで支持されているが、押し下げるのにそう強い力は要らない。

コレットは標準で0.8mm用が1つ付いてくる。別売で0.3,0.5,0.8,1.0mm用が用意されている。
コレットを使用するため、使えるドリル径は制限されるが、0.3mmのドリルでの作業が正確に行えるのはありがたい。

その実力は、電池からの電力ではちょっと力不足気味に感じる。私はN用のパワーパックから4Vぐらいを供給して使っているが、10年間モーターの焼損などは起こっていないので(ちょっと乱暴だが)問題なしと考えている。
小径のドリルによる作業を正確に行えるという意味では満足な製品である。ハンドドリルでかなり気を遣わなくては折れてしまう小径のドリル作業がかなり楽になる。0.8mm以上の径では力不足は否めない、良く切れるドリルを使ってゆっくり削ればなんとかなるが、真鍮までがせいぜいで、鉄への穴開けは無理。特に垂直に気を遣う穴開けでなければハンドドリルの方が作業性が良いと思われる。

このドリルでの作業ならではの作業は、線材への穴開けだろう。勿論、線材の径以下の穴を開ける作業である。
バイスの構造から長い線や深い穴は無理だが、線材を同内径のパイプに差込みバイスに銜えて垂直に穴開け作業が行える。

もうひとつは、エッチング板の穴を修正、拡大することである。エッチングに限らず、成型モノでも穴が不十分な場合にかなり正確に求める穴径を開ける作業が簡単にできる。

たいへんニッチな商品であるから、手元に置いたとしても活躍の機会はそう多くはないのだが、ハンドドリルで高価な小径ドリルを何本か折ることを考えれば安い買い物かもしれない。

 

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