番外編

1.デジカメ

2.フィルムスキャナー


◆フィルムスキャナー(ふぃるむ・すきゃなー)
デジカメに続いて画像入力系、風雅松本亭のご主人シロ/松本さんからリクエストをいただいたコンテンツである(背中を押していただいてありがとう〜!)。我が愛機のMACからSCSIカードが抜けない原因の一つとなっているのがフィルムスキャナー、ミノルタのQuickScan35とALPSのプリンタMD-1000、どちらもさして接続スピードはいらないという、今となってはSCSIカードの常識破り、時代錯誤な周辺機器となってしまった感がある。そろそろ新しいスキャナがほしいところ・・・。

個人使用をも視野に入れたフィルムスキャナーが発売され、少なからず驚いたのも随分昔の話になってしまった。ニコンから発売されたCOOLSCANがそれで、95年ぐらいだったろうか。

そもそも、フィルムから直接写真画像をコンピューターに取り込むというのは、印画紙にプリントされた写真を平面スキャナで取り込むより鮮明な画像が必要とか欲しいといった要求から生まれたもので、当初はパーソナルユースを視野に入れたものではなかった。そんな中パーソナルユースをコンセプトにしたフィルムスキャナーが登場したのである、スキャン時間はインター
フェイスも相まって眠くなるぐらい遅かったのだが、個人でフィルムからデジタル画像を作るには我慢できる範囲である。

それまでフィルムからのスキャンといえば、プロ用スキャナを使ったKODAK社のフォトCDが手近なところだったのだが、さすがに1コマ100円かかると気に入ったコマを全てCDにするわけにもいかない。フィルムスキャナーが20万円ぐらいするとしても、2000コマでスキャナの勝ちである。さらに、スキャナ側はスキャンした数が増えれば一枚あたりのコストが下がるので、フォトCDの勝ち目はスキャンの手間をどれだけユーザーが見てくれるかである。とはいえ、スキャンも楽しみの一つと考える向きも多いはずで、PHOTOCDに勝ち目はないのであった。

案の定、フィルムスキャナーは3年ぐらいは毎年5万円ぐらい価格ダウンが続き、今では画質的にCOOLSCAN (LS100)程度であれば3万円も出せば購入でき、スキャンスピードはびっくりするくらい速くなった。

さて、ここで我が家道具を紹介となるのだが、さすがに5年も経つと古さは否めない。すでにMac用のドライバーソフトも最新OSであるOS Xには対応していないので、OSをバージョンアップするまでの命になりそうな状況である。さらに、このところ若干調子が悪くなり始め、時には電源を落として立ち上げ直したりしながら使っている。基本性能はそこそこ満足しているので残念でならない。

我が家の愛機はミノルタ製のQuickScan35、基本スペックは次のとおり。

使用フィルム    35mmサイズ専用
最高解像度     2820dpi
スキャンスピード  2688画素×4032画素 34秒
読取り素子     3ラインCCD 
読み取り      1パス 連続読み取り不可
入出力       入 10bit 出 8bit
インターフェイス  SCSI

一応、当時としては画期的なスペックだった。(もちろん個人用として) 特に、スキャンスピードはニコンの同等品(LS200)に比べても速く、入力10bitも勝っていた。

もちろん、現在発売中のスキャナに比べるとさすがに機能面はもちろん仕様面でも旧タイプであることは否めないところ、こればかりは機械を買った以上しかたないことなのだが、最近のスキャナの連続読み取りや入出力能力は羨ましい。AD変換16bitは特に羨ましい機能である。(以下使用感へ続く)

Quickscan35の使用感の前に、解像度とフィルムの関係についてのお話。

フィルムスキャナーは2820dpiという高解像度でスキャンする。デジカメの画素で500万画素といえば高級機の画素数だが、35mmフィルムをスキャンした場合、2688×4032=10,838,016画素、約1100万画素とデジカメの倍の画素数となる。
1画素あたりの大きさは35mmフィルム上で9ミクロン、現像状況などでフィルムの粒子は変わるとは言え、そこそこ見えてくるものである。フィルムの粒子と解像度をうまくコントロールできればフィルムスキャナーの高画質は(現時点で)デジカメを凌駕している。

そこで次の実験をしてみた。

モノクロフィルムをスキャンした場合の銀粒子の見え方である。
左から、富士のネオパンSS、SSS、コダックトライX、TMZ800。解像度は最大の2820dpiでスキャンしたものだ。

銀粒子とは、モノクロフィルムで使われている感光物質の粒子のこと、ハロゲン化銀と呼ばれる銀の化合物で、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀といった種類があり、通常の撮影用フィルムには、臭化銀を主体として微量なヨウ化銀を混入させた「ヨウ臭化銀」の粒子が使われている。この粒子が上の例のように解像度を上げてスキャンすると見えてくるのである。

この粒子は現像液や現像方法によって大きさが変わるもので、一般に感度の高いフィルムは元々粒子が大きい傾向にある、また、現像温度が高かったり急速な現像を行う薬液の場合も粒子は大きく成長する。反対に、ゆっくり現像を進めると小さくなる。勿論、微粒子現像を特徴とする現像液で現像しても小さくなる傾向にある。

ちなみに、一番左のネオパンSSで撮った写真の全体がこちらである。

中央の機関車の左、これから乗り込もうとしている乗務員が上の例で使った部分である(明るくした部分)。

35mmフィルムの枠一杯が下の写真、下の写真は640×418画素だから、画面の画像は約700dpiでスキャンしたものと同等となる。このくらいでスキャンすると勿論粒子は見えない。

カラーではどうだろう。

ホームページに乗せるためJPEG圧縮を掛けているので粒子もさることながら圧縮・復元による階調ジャンプが見られわかりにくい画像になっているが、ISOの感度が高いものはやはり粒子が粗くなる。このあたりはモノクロと同じである。

おなじ感度ではコダクロームの方がエクタクロームよりも粒子は細かく感じる。ただ、KLとEPD(富士)はこの例ではあまり違いを感じられない。

意外だったのは、粒子よりも解像度である。モノクロではどれもかなり細かなところまでしっかり再現されているのだが、カラーではEPDとELの解像度が悪く感じられる。使用したレンズはどれも標準系のレンズで、KL・EPD・ELは撮影時期も機材も同じものである。
これがレンズのせいなのか、フィルムの再現性なのか同じ条件で実験してみないと判らないが、カラーフィルムで感度と解像度にどういった関係があるのか調べてみたいものである。

さらに次の実験  ※色味の違いはご容赦

写真A

写真B

この2枚は、元のフィルムから、上は横640ピクセルになるようにスキャンしたもの、下は最大解像度でスキャンし、それをレタッチソフトで640ピクセルに縮小したものである。

結果は面白くもなんともない・・・ほぼ同じだった。高解像度スキャン→レタッチが綺麗に見えると思ったのだが・・・。

ということで、この実験から将来高解像度で使用することがなければ、高解像度でスキャンしなくてもヨロシイということだ。ただ、フィルムの劣化を考えると将来何に使うか判らないからできるだけ高解像度でスキャンしておくべきだろう。

続く 2002.10.13

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